網走市 Abashiri
あばしりし
オホーツク海に面した港町で、オホーツク総合振興局の所在地。冬にはほぼ毎年流氷が接岸し、道の駅から流氷観光砕氷船「おーろら」が出航する12。明治期の監獄(現在は野外博物館)や、古代オホーツク文化のモヨロ貝塚でも知られる34。
- 人口(2020年国勢調査)
- 35,759
- 面積
- 470.84 km²
主な特色
- 流氷と砕氷船おーろら:アムール川の淡水が凍ってできた流氷が南下し、例年1月下旬ごろ網走沖に姿を見せる1。流氷観光砕氷船「おーろら」は1月20日から3月31日まで道の駅から運航する15。観光客が最も多いのは2月で、2025年2月は299,000人が訪れた6。
- 網走監獄:1890年開設。受刑者は旭川方面への中央道路の建設に動員され、200人以上が亡くなった16。野外博物館「博物館網走監獄」には監獄建造物25棟があり、うち8棟が国の重要文化財3。
- オホーツク文化と北方民族:国史跡モヨロ貝塚には、およそ1,300年前のムラの跡が残る417。北海道立北方民族博物館は、北方民族の文化を専門に紹介する国内唯一の博物館18。
- 海の幸:流氷明けの毛ガニ、能取湖の甘いホタテ、延縄で釣る「釣きんき」、網走湖の大粒のシジミ19。漁業生産額が最も大きいのはサケで、2024年は71.7億円6。かまぼこの原料「冷凍すり身」は1960年に網走の道立水産試験場で開発され、網走で初めて企業化された20。
- 湖沼:能取湖では日本一のサンゴ草群落地が9月に赤く染まる21。網走湖は氷上のワカサギ釣りで知られる22。濤沸湖はハクチョウやワシが集まるラムサール条約湿地23。
- 流氷グルメ:青いビール「流氷ドラフト」は流氷を仕込み水に使って造られる。ほかに流氷カレー、流氷ソフトクリーム、流氷飴がある2420。
- 農業:小麦、てん菜、馬鈴しょ、ブロイラーなど。2024年の農業生産額は約390億円6。「オホーツクあばしり和牛」と「網走監獄和牛」の2つのブランド牛がある24。
観光・アクティビティ
自然・景観
- 天都山:標高207mの国指定名勝176。オホーツク流氷館屋上の展望テラス(無料)からは、知床連山、オホーツク海、網走湖の夕日を360°見渡せる482。市民ボランティアが管理するフラワーガーデン「はな・てんと」は9月に満開を迎える4341。
- 能取岬(美岬):市街地から20分の岬。灯台は1917年に初点灯した北海道最古の鉄筋コンクリート造灯台で、高さ21m、光は約36kmまで届く。市内で最も早く流氷が見える場所で、夜は星空の撮影地にもなる。2025年12月に「願いを叶える鐘」と「ホタテ貝の絵馬」が設置された35。
- 能取湖サンゴ草群落地(卯原内60-3):アッケシソウとも呼ばれるサンゴ草の日本一の群落地。約4haが8月下旬〜9月下旬に赤く色づき、木道で中まで歩ける。生育不良を乗り越え、2015年8月に群生地の復活が宣言された。無料、JR網走駅から車で16分21。
- 大曲湖畔園地(三眺24):網走刑務所の旧農場跡地を整備し、2005年に開園した80haの園地。第1期は7月上旬〜中旬に約40万本のひまわりが咲き、第2期は9月下旬〜10月上旬に14haに約260万本が咲き誇る。コスモスも同時に楽しめる。開園は5月上旬〜10月15日の9:00〜17:00、入園無料、駐車場約1,000台49。
- 濤沸湖:ハクチョウやワシが集まるラムサール条約湿地。2012年に濤沸湖水鳥・湿地センターが開館した236。砂州に広がる小清水原生花園は隣の小清水町にある23。
- 北浜駅:釧網本線の駅で、オホーツク海の海岸まで約20m。旧駅事務室を改装した喫茶店「停車場」が1986年から営業し、旧型客車の椅子などを再利用している。展望台は2026年5月に撤去された34。
- ポンモイ柱状節理:海岸にある安山岩の柱状節理で、市指定天然記念物176。
温泉
- 網走湖畔温泉:網走湖のほとりの温泉地36。
博物館・文化財
- 博物館網走監獄(呼人1-1):明治時代から網走刑務所で使われた建物を天都山の網走湖側に移築・復原した野外歴史博物館。敷地は東京ドーム約3.5個分。建造物25棟のうち、庁舎、教誨堂、旧網走刑務所二見ヶ岡刑務支所、1912年から1984年まで使われた「舎房及び中央見張所」など8棟が国の重要文化財、6棟が登録有形文化財3。日本語版ウィキペディアは、五翼放射状平屋舎房を刑務所の施設として国内最古、木造の行刑建築として世界最古としている50。開館9:00〜17:00(最終入館16:00)、休館は12月31日と1月1日、大人1,500円、駐車場400台333。館内の食堂では、現在の網走刑務所のメニューを再現した「監獄食」を味わえる3350。
- オホーツク流氷館(天都山244-3):−15℃の「流氷体感テラス」で本物の流氷に触れ、濡れたタオルを凍らせる「シバレ体験」ができる。流氷の海中を360°カメラで撮った映像や五面シアターもある。開館は5〜10月8:30〜18:00、11〜4月9:00〜16:30、年中無休、大人990円48。
- 北海道立北方民族博物館(潮見309-1):オホーツク文化から、東はグリーンランド、西は北欧までの北方民族の文化を紹介する国内唯一の専門博物館。アザラシの腸で作ったパーカや、アラスカの冬の家の原寸大模型など900点以上を展示。無料音声ガイドは5か国語対応。開館9:30〜16:30(7〜9月は9:00〜17:00)。月曜休館(2月と7〜9月は無休)、大人550円18。
- モヨロ貝塚館(北1条東2丁目):オホーツク文化のムラの住居、墓、貝層を展示し、遺跡内には散策路がある。開館9:00〜17:00(11〜4月は16:00まで)。10〜6月は月曜・祝日休館、大人300円。JR網走駅から徒歩25分4。2013年にリニューアルオープンした6。
アウトドア・季節の体験
- 流氷観光砕氷船おーろら:1月20日〜3月31日。大型船「おーろら」は約1時間、大人7,000円(特別席は別途500円)。小型船「おーろら3」は約2時間の沖合航路で9,800円、3月運航予定。流氷の上のアザラシや鳥が見られるが、クリオネは見られない。流氷がない時は大型船は能取岬までの海上遊覧となり、おーろら3は運休151。
- あばしりネイチャークルーズ:クジラ、イルカ、海鳥のウォッチング。5月1日〜10月31日の金〜日曜と祝日、9:30出航、所要2時間30分〜3時間。大人8,800円、オンライン予約のみ、6〜20名。道の駅裏手の船着き場から出航51。
- 冬:網走湖のワカサギ釣り(「文化・祭り」参照)22。2月は流氷カヤックやファットバイクも楽しめる43。
- サイクリング:道の駅の観光案内所でレンタサイクルを借りられる。常呂までサイクリングロードが続く52。
- スキー:天都山の市営スキー場(レークビュースキー場)には約800mのペアリフトと7コースがあり、ナイター照明も備える6。
- キャンプ・農業体験:オートキャンプ場「てんとらんど」は1994年開業6。大曲湖畔園地ではアスパラやトマトの収穫体験ができる(要問い合わせ)49。
食の体験
道の駅
- 所在地:網走市南3条東4丁目5-1。網走川河口、道道1083号網走港線沿い5354。オホーツク海や知床半島を一望できる2。JR網走駅から車で約8分54。網走バスのバス停名は「流氷砕氷船のりば(道の駅)」で、観光施設めぐり線、女満別空港線、知床エアポートライナーが停まる55。日本語版ウィキペディアは「おーろらターミナル」としている54。網走駅前からタクシーで約900円52。
- 営業時間:道の駅・売店9:00〜18:00(2026年4月から通年同じ)、レストラン11:00〜15:30、テイクアウトコーナー10:00〜16:00。休館日は年末年始(12月31日〜1月1日)256。館内の観光案内所は9:00〜18:00。年末年始の休業は、観光サイトの本文では12月29日〜1月3日、フッターでは12月30日〜1月5日となっている20。2026年9月時点の情報なので、訪問前に確認を。
- 売店・商品:地元の農水産加工品、銘菓、道の駅グッズ、網走プリンなど2。地酒「君が袖」、流氷ドラフト、ワカサギの佃煮も扱う20。観光協会窓口ではニポポ、流氷飴、サハリンイルガを販売20。
- 食事:レストランとテイクアウトコーナーがある。網走ザンギ丼、あばしりちゃんぽん、網走産の長芋・金印わさび・カラフトマスを使った網走バーガー、おーろらソフトが名物2。2階のフードコート「キネマ館」は、昭和の時代に様々な映画の舞台となった網走を再現した空間240。
- 設備:
- 備考:
アクセス・交通
- 空路:大空町にある女満別空港から市街地まで車で約30分。バスは到着便に合わせて運行し、網走バスターミナルまで約35分。空港行きは出発時刻の約70分前に網走バスターミナルを出る52。
- 鉄道:JR網走駅は石北本線と釧網本線の終点57。
- 道路:国道39号、238号、244号、334号が通る。国道240号・243号・239号・242号・391号は重用区間として乗り入れる5。札幌から車で道央自動車道・旭川紋別自動車道・国道450号経由で約5時間30分、女満別から国道39号経由で約30分52。
- 都市間バス:網走バスが札幌行き「ドリーミントオホーツク号」、新千歳空港行き「千歳オホーツクエクスプレス」を運行。いずれも完全予約制52。
- 市内の移動:
旅のヒント
- 流氷:接岸初日は例年2月上旬〜中旬で、流氷まつりの時期と重なる43。ただし必ず見られるわけではない。2025年は流氷の到来が2月中旬までずれ込み、流氷航海日数はわずか28日だった1。流氷がない時は大型船は能取岬までの海上遊覧となり、おーろら3は運休する。出かける前に運航状況を確認を15。
- 冬の服装:1月の平均最高気温は−2.2℃、平均最低気温は−8.9℃、2月は−2.0℃と−9.6℃。砕氷船に乗るときは特に、手袋、耳を隠せる帽子、滑りにくいゴム底の靴を43。
- 3〜4月:3月は「ドカ雪」が降り、まれに交通機関がすべて止まることもある。雪どけ時期の道路はぬかるむので長靴が無難43。
- 夏〜秋:6月でも夜は5℃以下になることがあり、セーターが必要43。ひまわりの見頃は7月中旬と9月下旬49、サンゴ草は8月下旬〜9月下旬21。鮭の遡上は10月がピーク43。
- 観光案内所:網走市観光協会の窓口が道の駅(9:00〜18:00)とJR網走駅(平日12:00〜17:00、土日祝と1月20日〜3月31日は9:00〜17:00)にある。年末年始の休業はサイトのフッターでは12月30日〜1月5日、特産品のページでは12月29日〜1月3日20。
- 休館日:北方民族博物館は月曜休館(2月と7〜9月は無休)、モヨロ貝塚館は10〜6月の月曜休館184。博物館網走監獄の休館は12月31日と1月1日のみ3。
- 野生動物:能取岬周辺ではキツネやシカがよく現れ、夜は真っ暗になるのでライトを持参したい35。濤沸湖では鳥インフルエンザ対策で2010年から餌付けが禁止されている23。道東の森林にはヒグマが生息しているので、山歩きの前には地元の情報を確認したい。
- 能取岬のトイレ:4〜10月は8:00〜17:00、11〜3月は9:00〜16:0035。
写真
網走市についてもっと詳しく
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種別 | 市。オホーツク総合振興局の所在地で、オホーツク圏の中核都市5 |
| 振興局 | オホーツク総合振興局 |
| 郡 | なし(市は郡に属さない)。かつては北見国網走郡6 |
| 人口 | 2020年国勢調査は35,759人、17,253世帯6。2025年国勢調査速報は32,770人(男16,354人、女16,416人)で8.4%減。人口規模は道内179市町村中20位7。住民基本台帳人口は2026年8月末現在30,929人(うち外国人565人)、17,568世帯8。北海道の集計による2026年1月1日現在の住民基本台帳人口は31,518人9 |
| 面積 | 470.84km²(国土地理院、2026年4月1日)10。2024年度固定資産概要調書による地目別面積は山林15,094ha、畑13,934ha、宅地1,144ha。市の統計書の「位置面積」欄には471.00km²と記載されている6 |
| 人口密度 | 約65.7人/km²(2026年8月の住民基本台帳)。2020年国勢調査時は約75.9人/km² |
| 沿革 | 1872年(明治5年)に網走村の名が与えられ、市はこれを開基としている6。同年、網走郡内にアバシリ、ノトロ、モヨロ、モコト、トウフツなど8村が成立した5。1902年4月1日に網走町が発足し、1915年4月1日に能取村・藻琴村を合併した65。1921年4月1日に女満別が分村。1947年2月11日に市制を施行し、同日東藻琴が分村した6。女満別と東藻琴は現在の大空町11 |
| 隣接自治体 | 北見市、大空町、小清水町5 |
| シンボル | 市の木はカツラ。市制施行25周年を記念して市民の公募から選び、1972年(昭和47年)8月12日に制定。市の花はエゾムラサキツツジ(Rhododendron dauricum)で、市制施行30周年を記念して1977年(昭和52年)10月2日に制定。市の鳥の記載はない126。市章(1940年3月22日制定)はカタカナの「ア」と漢字の「走」を組み合わせて錨の形にし、港を表す13 |
| マスコット | ニポネ。2012年11月、公募で誕生。木彫りの「ニポポ人形」と流氷の天使「クリオネ」を合わせた姿で、胸に市の花エゾムラサキツツジのバッジ、頭に北方民族の文様のハチマキを着ける。誕生日は11月22日14 |
| 公式サイト | https://www.city.abashiri.hokkaido.jp/ |
地名の由来
- 市名:アイヌ語に由来し、「網走」は音に漢字を当てたもの。北海道のアイヌ語地名リストは次の説を挙げている25。
- 「アパシリ(apa-siri)」=漏る所(漏る・地)。洞窟の口から雨漏りのように滴が落ちていたため。
- 「チパシリ(ci-pa-sir)」=我らが・見付けたる・岩。昔、網走湖の南岸に笠をかぶって立つ人の形をした白い岩があり、アイヌがこれを見つけて信仰した。今は崩れて残っていない。永田方正は「我ら発見したる土地」とした。松浦武四郎の1858年の日誌(『戊午日誌』)は「網走湖口の幣場であった立岩ヂバシリがアバシリの名の起源」と書いている。
- 「チパシリ(cipa-sir)」=幣場(のある)・島。もとは網走川河口近くの海にある帽子岩の名で、アイヌはここに沖の神をまつる幣場(ヌサ)を設けていた。チパが古語のため後のアイヌに理解されなくなり、ci-pa-sir と解釈し直された。これは『網走市史』の説である。日本語版ウィキペディアは、漁師が漁に出る前に帽子岩にイナウを捧げたと記している5。
- 岩の神が「チパシリ、チパシリ」と歌い舞った、鳥が「チパシリ」と鳴いて飛んでいた、という伝説もある。
- 地名リストは ci-pa-sir または cipa-sir の解釈に妥当性を感じるとしつつ、諸説あるため「不明」としている25。
- 市の説明:市は「ア・パ・シリ(我らが見つけた土地)」「アパ・シリ(入り口の地)」「チバ・シリ(幣場のある島)」などの説を挙げ、いずれもアイヌ語に漢字を当てたものとしている13。
- 市内のその他のアイヌ語地名:
- 能取は「ノッ・オロ(岬・の所)」から。大きな湖は特別な名を持たず、単に「ト(湖)」と呼ばれた。「能取湖」は「ノトロにある湖」の意で和人が付けた名26。
- 濤沸は「トプッ(湖の・口)」から。和人が湖口の地名を湖名にした27。
- 藻琴は「モコロ・ト(眠っている・沼)」からとされる。山に囲まれ波が静かなため(知里真志保)。ほかに「ポ・コッ・ト(子・持つ・沼)」「ムク・ト(塞がる・沼)」の説がある28。
- 呼人は「イ・オピ・ト(それを・捨て去った・沼)」から。網走湖の北東に細長く入り込んだ部分を指した28。
- リヤウシ湖は「リヤ・ウシ・ト(越冬する・いつもする・湖)」から28。
- 浦士別は「ウライ・ウシ・ペッ(簗が・ある・川)」から。『網走市史』は、昔ここにコタンがあり、川口に簗を立てて魚を獲ったと書いている29。
- 卯原内は「オ・パル・ライ」または「ウ・パル・ライ」(川口が死んでいる川)から。能取湖に注ぐあたりが湿地で、川口がはっきりしないため29。
歴史
- 先史時代:網走地方で人の暮らしが始まったのはおよそ2万年前6。5世紀ごろからオホーツク海沿岸でオホーツク文化が約800年にわたって栄えた。後期には擦文文化と融合し、アイヌ文化が成立する13世紀ごろまで続いた5。およそ1300年前、網走川河口にモヨロのムラがあった。人々は海獣狩猟を中心に暮らし、クマを神としてまつり、死者の頭部に土器をかぶせて葬った430。発掘では100体以上の人骨、骨角器のほか、本州で作られたとみられる鉄の刀や、大陸から持ち込まれたとみられる青銅の鈴が出土している30。1913年に在野の考古学者・米村喜男衛が発見して網走に移り住み5、1936年12月16日に国の史跡に指定された17。
- アイヌ文化期:丘の一端に空壕をめぐらせたアイヌの砦「桂ヶ岡砦跡(チャシ)」は、1935年12月24日に国の史跡に指定された176。
- 江戸時代:1798年に谷口青山が描いた沿岸図に、アバシリとその番屋が記されている。1812年、場所請負人の藤野喜兵衛が網走川河口に弁天社を創祀した(のちの厳島神社)。1858年には松浦武四郎が網走川を遡った5。藤野喜兵衛が航海の安全を願って奉納した船絵馬(1821〜1873年と1845〜1875年)が、網走神社と鱒浦稲荷神社に残る6。
- 明治初期:1869年、北見国網走郡が置かれた。同年、トーマス・ブラキストンがポンモイの柱状節理を見ている5。1872年に網走村の名が与えられ6、網走は北見4郡(斜里・網走・常呂・紋別)の中心となった。1880年に郡役所が開庁し、1897年に網走支庁が置かれた6。
- 監獄と道路:1890年、道路建設に従事させるため釧路監獄署網走囚徒外役所が開設された。1891年、受刑者は中央道路約160kmを1年で完成させたが、けがや栄養失調で200人以上が亡くなった16。1890年に釧路道路(網走―釧路)が完成し、1891年に中央道路(網走―旭川)が開通した6。1903年に網走監獄と改称、1909年に山火事で焼失し1912年に再建、1922年に網走刑務所となった16。
- 入植:1897年、北光社移民団が網走に上陸し、野付牛村(現在の北見市)の北光社農場へ向かった。同年、屯田兵の第1陣も船で網走に到着した5。
- 鉄道と港:1912年に野付牛からの鉄道が開通し、網走駅が開業した56。1925年に斜里までの鉄道が開通し、1931年に釧路までの釧網線、1932年に旭川までの石北線が全通した6。1919年に築港工事が始まった。当初の工事の完成は、市勢要覧の沿革では1923年、年表では1930年3月となっている6。
- 市制施行:1947年2月11日に市制を施行した。戦後は1949年に網走漁業協同組合が設立され、1958年7月1日に網走国定公園が指定された631。1966年2月、第1回オホーツク流氷まつりが開かれた632。
- 20世紀後半:網走港は1978年に重要港湾、1980年に国際貿易港に指定された6。1983年に博物館網走監獄が開館33。1987年に能取湖畔を走る湧網線が廃止された6。1989年に東京農業大学生物産業学部が開学。1991年1月15日に流氷観光砕氷船「おーろら」が就航し、同年2月10日に北海道立北方民族博物館が開館した6。
- 21世紀:2009年1月19日に道の駅が開業し、2015年に新しいオホーツク流氷館が開館した6。2016年に博物館網走監獄の建物が国の重要文化財となった17。2023年3月1日に小型の砕氷船「おーろら3」が就航し、2025年2月25日に新市庁舎が開庁した6。道の駅は開業17年目で入館者1,000万人を達成した6。北浜駅の展望台(2002年設置)は安全が保てなくなったため、2026年5月22日に解体された34。2020年から2025年の国勢調査で人口は8.4%減った7。
地理・気候
- 位置:北海道北東部のオホーツク海沿岸、北緯44度2分、東経144度14分6。海岸線は西の能取湖から能取岬、市街地を経て東の濤沸湖まで続く3510。網走川が網走湖から市街地を通って海に注ぐ36。
- 湖沼:市内の5つの湖沼の面積は計101.93km²(1993年調査)。能取湖58.51km²、網走湖32.87km²、濤沸湖9.01km²、藻琴湖1.12km²、リヤウシ湖0.42km²6。国土地理院の最新値では能取湖58.18km²(全域が網走市)、網走湖32.27km²(網走市20.02km²、大空町12.24km²)、濤沸湖8.19km²(網走市4.64km²、小清水町3.55km²)10。
- 山と海岸:天都山(207m)は国の名勝(1938年指定)で、網走から知床半島にかけての海岸線を一望できる617。能取岬はオホーツク海に突き出た岬で、突端に灯台があり35、能取半島沿いには海食崖が続く31。海岸にある安山岩の柱状節理「ポンモイ柱状節理」は市の天然記念物176。
- 自然公園:網走国定公園は1958年7月1日指定。7市町にまたがる37,261haで、湖沼群、天都山、能取岬を含む31。
- 気候:市は、晴天が多く、北海道としては雨や雪が少ないとしている。海の影響で寒暖差が小さく、道東部としては比較的温暖6。気象庁の平年値(網走)37:
- 流氷:網走地方気象台の観測では、流氷初日と接岸初日は2024年が1月19日と1月22日、2025年が2月15日と2月17日。流氷終日の観測は2021年で終了した6。「おーろら」の記録では、流氷航海日数は2026年が54日、2025年はわずか28日だった1。市は、海氷域面積の減少や流氷の観測期間の短縮がみられるとしている6。
経済・産業
- 就業者:2020年国勢調査の就業者は16,723人。第1次産業2,195人(農業1,409人、漁業761人)、第2次産業2,555人、第3次産業11,448人6。
- 農業(2024年):農業生産額は約389.6億円。農作物109.1億円、畜産物280.6億円6。
- 漁業(2024年):漁獲量57,873.0t、生産額158.5億円6。
- 漁獲量ではスケトウダラ18,169.4t、ホタテ17,393.9t(34.7億円)とホタテ稚貝5,851.3t(19.4億円)、サケ6,865.6t。
- 生産額ではサケが71.7億円で最大。タコ(930.1t)やニシン(262.7t)も重要な魚種。
- 内水面(網走湖・藻琴湖・濤沸湖。能取湖は海面扱い)は473.0tで、シジミ345.7t(2.95億円)、ワカサギ91.4tなど。
- 水産加工は13,770.3t、136.1億円で、冷凍製品が中心。2024年度のサケ稚魚放流数は約5,370万尾6。
- 港湾:2024年の網走港の取扱貨物は、輸・移出191,541t(農水産品68.3%)、輸・移入213,275t(鉱産品61.0%)6。
- 観光:2024年度の観光客数は156.77万人、宿泊延べ数は39.61万人。2019年度の150.89万人を上回った。コロナ禍の2020年度は89.19万人だった6。月別では流氷の2月と夏の8月が多い6。
- 企業・学校:網走ビール株式会社が発泡酒を製造している39。網走に本社を置く道東観光開発が「おーろら」を運航し、道の駅の売店とフードコートも運営している1540。東京農業大学のオホーツクキャンパスがある5。スポーツ合宿の誘致にも力を入れており、国内外のラグビー代表選手、トップリーグや大学のラグビーチーム、陸上・スケート・パラスポーツのトップ選手が合宿を行っている6。
- 人口の推移:国勢調査人口のピークは1980年の44,777人。2020年は35,759人、2025年の速報値は32,770人67。2024年度は出生152人に対し死亡514人、転入1,543人に対し転出1,785人だった6。
特産品・名物
| 特産品 | 分類 | 内容・購入場所 |
|---|---|---|
| 流氷明け毛ガニ | 海産物 | 流氷が去った後、3月末〜4月末ごろに水揚げされる毛ガニ。最も身が詰まった時期とされる19。5月に「春カニ合戦in網走」が開かれる41 |
| ホタテ | 海産物 | 波の穏やかな能取湖で育ち、養分が貝柱に集まるため大きく甘い19。ふるさと納税では貝柱が総合ランキング1位42 |
| 釣きんき | 海産物 | 延縄で1匹ずつ釣るきんきで、国内で「釣りモノ」は網走産のみとされる。網走漁業協同組合の登録商標。煮付けのほか、湯煮にウスターソースをかける食べ方もある。店への予約がおすすめ19 |
| シジミ・カキ | 海産物 | 網走湖の大粒のシジミ19。藻琴湖・濤沸湖のカキは11月中旬から食べ頃43 |
| ワカサギの佃煮 | 海産加工品 | ワカサギを甘辛く煮込んだもの。道の駅で販売20 |
| ケダマ・から酒 | 海産加工品 | 「ケダマ」は殻を剥いた毛ガニ。「から酒」は炭火で炙った蟹脚の殻を燗酒に入れる、網走の漁師の飲み方20。グルメ案内ではイバラガニ(タラバガニの仲間)の殻を使うとしている44 |
| 長天・かまぼこ | 水産練り製品 | 網走のソウルフードとされる細長い揚げかまぼこで、カレーの具にもなる。大谷蒲鉾店、横山蒲鉾店、北見食品工業直売店、市内スーパーで販売。丸北北都はニポポ形の帆立入りかまぼこを作っている20 |
| オホーツクあばしり和牛・網走監獄和牛 | 牛肉 | 前者はブランド化推進協議会の基準を満たす網走産和牛。後者は網走刑務所の受刑者が育てた黒毛和牛で、A5の評価を得ており、出荷は年20〜30頭のみ24 |
| JAオホーツク網走の加工品 | 農産加工品 | 網走市・大空町東藻琴産の農産物を使ったあずきじゃむ、ながいもピクルス、ごぼう醤油。地元の和牛と特産野菜の行者菜を使った「和牛の薔薇」。JAのアンテナショップで販売20 |
| 流氷ドラフト | ビール | 流氷を仕込み水に使った鮮やかな青の発泡酒。色はクチナシ由来24。網走ビールは知床ドラフト、監極の黒、各種エールも造る39。道の駅で販売20 |
| 君が袖 | 日本酒 | 桂ヶ岡のわき水を仕込み水に使った地酒。道の駅で販売20 |
| 流氷ソフトクリーム | 菓子 | ジェラテリアRimoプロデュースの塩キャラメル味で、海藻由来の青い塩をかける。オホーツク流氷館の「café de Clione」で販売2420 |
| ジェラテリアRimoのジェラート | 菓子 | シェフの髙田聡氏は2017年のSHERBETH FESTIVALと2019年のMIGガストロノミーコンテストで優勝。網走産牛乳100%を使う。店は網走市街と女満別空港の中間、呼人41824 |
| 流氷カレー | 料理 | マリンブルーのカレーに、流氷に見立てたホワイトチキンカレーを合わせる。インド料理店「クリシュナ」監修24 |
| 流氷飴 | 菓子 | 本物の流氷に近い色と形の飴。永田製飴製造。75g入り270円、ハッカ756円20 |
| ニポポ | 工芸品 | 槐(エンジュ)を彫った小さな人形。名は樺太アイヌの「ニィ・ポポ(小さな木の子供)」に由来し、北方の人々はお守りとして大切にした。網走では1954年に網走刑務所の受刑者が試作・販売した。観光協会窓口で販売20 |
| サハリンイルガ | 工芸品 | ウイルタの伝統紋様「イルガ」をモチーフにした木製のペンダント、チョーカー、ストラップなど20 |
| 道の駅のご当地メニュー | ご当地グルメ | 網走ザンギ丼、あばしりちゃんぽん、網走バーガー、おーろらソフト2 |
| ふるさと納税の返礼品 | 返礼品 | ホタテ貝柱、冷凍帆立、Rimoのカップソフトクリームが上位。カニ、いくら、牛肉もある42。ANA・JALのダイナミックパッケージやYahoo!トラベル、一休.com、楽天トラベルのクーポン、砕氷船や流氷館で使える現地決済型のクーポンもある45 |
文化・祭り
| 行事 | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 網走湖ワカサギ釣り | 1月〜3月中旬(2026年は1月5日〜2月11日) | 結氷した網走湖での氷上釣り。手ぶらセットは大人2,200円で、遊漁料、貸し竿、エサ、穴あけ料、貸しイスを含む2243 |
| 日本一網走湖ワカサギ釣り選手権大会 | 1月下旬(2026年は1月24〜25日) | 2日間にわたるチーム対抗戦41 |
| あばしりオホーツク流氷まつり | 2月上旬(第62回は2027年2月6〜7日) | 1966年から続き、現在の会場は網走商港埠頭。雪像・氷像、ステージ、ホタテ撒き、流氷カヤック、流氷輪投げなど。テーマは「SAVE THE ICE SAVE THE EARTH」326 |
| オホーツク屋台村 | 2月(2026年は2月6〜7日) | 極寒の中で屋台料理とアイスバーを楽しむ41 |
| あばしり春の旬まつり・カニめしキャンペーン | 4月下旬〜6月 | 市内の飲食店で流氷明けの旬の味覚を味わう4143 |
| 春カニ合戦in網走 | 5月中旬〜下旬(第14回は2026年5月23〜24日) | カニがテーマのイベントで、来場者にカニを「まく」カニまきがある41 |
| オホーツク SEA TO SUMMIT | 6月中旬(2026年は6月13〜14日) | カヤック・バイク・ハイクでオホーツクの自然をめぐるレース41 |
| あばしりオホーツク夏まつり | 7月下旬 | 「流氷音頭」で踊る千人おどり、花火大会など43 |
| あばしり道の駅夕市まつり | 7月下旬 | 道の駅で網走のグルメを楽しむ43 |
| あばしり七福神まつり | 9月上旬(2026年は9月5〜6日) | 市内や友好都市、全国各地の美味しいものが集まる41 |
| 網走・能取湖さんご草まつり | 9月中旬(2026年は9月12〜13日) | 真っ赤なサンゴ草を眺めながら、ホタテ早剥き大会、野菜の重さ当てゲーム、ホタテやツブの焼き台など2141 |
| てんとらんど大感謝祭・能取岬灯台開放 | 9月中旬〜下旬 | オートキャンプ場「てんとらんど」にキッチンカーが並ぶ感謝祭と、年に一度だけ灯台の中に入れる日4341 |
| オホーツク網走マラソン | 9月下旬(2026年は9月26〜27日) | 毎年恒例のマラソン大会41 |
| ABASHIRIバル | 秋(2026年は10月20日〜12月3日) | 秋の網走の味覚を食べ歩くハシゴ酒イベント41 |
| ニポネまつり | 11月 | 11月22日のニポネの誕生日を祝う4114 |
- 神社・寺院:網走神社と鱒浦稲荷神社には藤野喜兵衛が奉納した船絵馬が残り、いずれも市指定文化財。永専寺山門は網走監獄の正門として1912年に建てられ、1924年に寺へ移築された617。厳島神社は、藤野が1812年に創祀した弁天社が始まり5。
- 博物館:主要4館(「観光」参照)のほか、網走市立郷土博物館がある。建物は建築家・田上義也の設計で1936年に建てられた道内最初期の博物館建築で、フランク・ロイド・ライトの影響がみられる。2019年12月5日に国の登録有形文化財となった617。
- 記念碑:1989年に市内にトーテムポールが建てられた6。天都山には、ウイルタのダーヒンニェニ・ゲンダーヌが建立を願った合同慰霊碑「キリシエ」が1982年5月に建てられた46。
- 映画・CM:能取岬はトヨタ・プリウスのCMや、映画『子ぎつねヘレン』『南極料理人』『狙った恋の落とし方』のロケ地35。網走刑務所は高倉健主演の映画『網走番外地』シリーズで全国に知られるようになった16。
アイヌ文化
- 桂ヶ岡砦跡(チャシ):丘の一端を利用し、空壕をめぐらせたアイヌの砦。アイヌ文化を代表する遺跡とされ、1935年から国の史跡617。
- 地名:網走、能取、濤沸、藻琴、呼人、浦士別など、市内の古い地名の多くはアイヌ語に由来する(「地名の由来」参照)2526272829。1872年に置かれた村はエチャニ、ニクリバケ、ノトロ、モヨロ、モコト、ナヨロ、トウフツなどカタカナの名で5、このうちノトロ、モコト、トウフツは上に挙げたアイヌ語地名にあたる262827。地名リストは、浦士別にコタンがあったこと、リヤウシ湖に越冬のコタンがあったことを記している2928。
- アイヌ文化以前:モヨロ貝塚のオホーツク文化の人々はクマを神としてまつった4。オホーツク文化は後期に擦文文化と融合し、アイヌ文化が成立する13世紀ごろまで続いた5。
- 博物館:北海道立北方民族博物館は、アイヌ文化をイヌイト、ウイルタなど北方地域の諸民族の文化とともに紹介し、クマ送りなどの儀礼の展示もある18。
- 伝説:マスコット「ニポネ」の誕生物語は、網走の郷土の話を集めた『続網走百話』にある「地獄穴」の話(副題「アイヌの地獄穴」)をもとにしている14。
- 樺太の人々:1945年のソ連による南樺太侵攻の後、ニヴフやウイルタの家族の一部が網走に移り住んだ47。ウイルタの活動家ダーヒンニェニ・ゲンダーヌは1978年、網走に資料館「ジャッカ・ドフニ」(「大切なものを収める家」)を開いた。ウイルタ、ニヴフ、アイヌの資料約600点を収めたが、2010年に閉館し、資料は北海道立北方民族博物館に移された46。
- アイヌ協会:市の「ふれあい活動センター」(2005年開設)の入居施設に「アイヌ協会」が挙げられている6。
- 確認できなかった点:市内のアイヌ文化専用施設や定例のアイヌ文化行事は、今回の調査では見つからなかった。
姉妹都市・友好都市
ゆかりの人物
出典
本文中の番号は、この出典一覧につながっています。 数値は2026年9月23日時点のものです
- 冬の醍醐味、流氷観光|網走流氷観光砕氷船 おーろら 公式ホームページ — Dōtō Kankō Kaihatsu JA 閲覧日 2026-09-23
- 道の駅 流氷街道網走 — 北の道の駅 (hokkaido-michinoeki.jp) JA 閲覧日 2026-09-23
- 博物館 網走監獄|網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」 — Abashiri City / Abashiri Tourism Association JA 閲覧日 2026-09-23
- モヨロ貝塚館|網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」 — Abashiri City / Abashiri Tourism Association JA 閲覧日 2026-09-23
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- ふるさと納税で網走旅を満喫しよう!|網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」 — Abashiri City JA 閲覧日 2026-09-23
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- オホーツク流氷館|網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」 — Abashiri City / Abashiri Tourism Association JA 閲覧日 2026-09-23
- 網走市大曲湖畔園地ひまわり畑|網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」 — Abashiri City / Abashiri Tourism Association JA 閲覧日 2026-09-23
- 博物館網走監獄 — Japanese Wikipedia JA 閲覧日 2026-09-23
- あばしりネイチャークルーズ ~クジラ・イルカ・ウミドリ~|網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」 — Abashiri City / Abashiri Tourism Association JA 閲覧日 2026-09-23
- アクセス|網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」 — Abashiri City / Abashiri Tourism Association JA 閲覧日 2026-09-23
- 住所等一覧 — 北の道の駅 (hokkaido-michinoeki.jp) JA 閲覧日 2026-09-23
- 道の駅流氷街道網走 — Japanese Wikipedia JA 閲覧日 2026-09-23
- 網走流氷観光砕氷船のりばバス時刻表 — Abashiri Bus Co. JA 閲覧日 2026-09-23
- 道の駅「流氷街道網走」営業時間変更のお知らせ — 北の道の駅 (hokkaido-michinoeki.jp) JA 閲覧日 2026-09-23
- 網走駅 — Japanese Wikipedia JA 閲覧日 2026-09-23